投与の注意点
エムパベリ投与開始前の注意点について
投与対象の確認
エムパベリは、すでに補体(C5)阻害剤(エクリズマブ又はラブリズマブ)による適切な治療を受けているにも関わらず、効果が不十分であったPNH患者さんが投与対象となります。
以下のような患者さんはエムパベリによる治療を受けられなかったり、治療を慎重に行う必要がありますので、主治医にご相談ください。
以下のような患者さんはエムパベリによる治療を受けられません。
- 髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型などの莢膜形成細菌による重篤な感染症が回復していない患者さん
- エムパベリに対して過敏症を起こしたことがある患者さん
以下のような患者さんはエムパベリによる治療を慎重に行う必要があります。
- 髄膜炎菌感染症の既往のある患者さん
- 感染症又は感染症が疑われる患者さん
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者さん
※妊娠可能な女性の患者さんは、以下の注意が必要です。
エムパベリ投与中及び最終投与後少なくとも8週間は、適切な避妊をしてください。
ワクチン接種の確認
エムパベリは、免疫系の一部を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型などによる重篤な感染症にかかる可能性が高まります。
重篤な感染症のリスクを低下させるためには、エムパベリを初めて使用する2週間前までに、髄膜炎菌ワクチン、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザ菌b型ワクチンの接種が必要です。
ワクチン接種は重篤な感染症にかかるリスクを減らすことができますが、完全に感染症にかからなくなるわけではありません。
投与対象やワクチン接種に関して、疑問や不明点がございましたら、主治医や薬剤師、看護師にご相談ください。
エムパベリ投与中の注意点について
感染症
エムパベリの投与により、髄膜炎や敗血症などの重篤あるいは致死的な感染症の発症リスクが高まる可能性があります。
重篤な感染症に関連する症状や初期徴候には以下のようなものがあります。
あてはまる症状がみられた場合は、たとえ軽度であっても直ちに主治医に連絡し、緊急の治療を受けてください。
主治医と連絡がつかない場合は、直ちに救急車を呼び、救急室のスタッフに「エムパベリ®患者安全性カード」を提示してください。
- 発熱
- 寒気
- 頭痛
- 吐き気や嘔吐
- 発疹
- 筋肉の痛み(インフルエンザのときのような)
- 皮下出血(青あざ・点状出血)
- 息切れ
- 脈が速い
- 冷や汗
- 首筋や背中のこわばり
- 光に対する過敏な感覚
- 錯乱(考えがまとまらない、感情が混乱する)
- 激しい痛みや不快感
- など
アレルギー反応
エムパベリの投与により、アレルギー反応がみられる場合があります。
アレルギー反応に関連する症状や初期徴候には以下のようなものがあります。
あてはまる症状がみられた場合は、たとえ軽度であっても直ちに主治医に連絡し、緊急の治療を受けてください。
主治医と連絡がつかない場合は、直ちに救急車を呼び、救急室のスタッフに「エムパベリ®患者安全性カード」を提示してください。
- 胸の痛み、胸のしめつけ感
- 息切れや息苦しさ
- 皮膚の激しいかゆみ、腫れ
- 顔や舌、のどの腫れ
- めまい、意識消失
- など
その他
妊娠又は妊娠している可能性、あるいは授乳する可能性のある場合には、直ちに主治医に連絡してください。
PNHの診察、PNH以外の診察のいずれの場合でも、医療機関を受診される場合には、受診先及び薬剤部/調剤薬局の医療関係者(医師、看護師、薬剤師など)に「エムパベリ®患者安全性カード」を必ず提示してください。
この他にも、エムパベリの使用中に気になる症状があらわれた場合は、主治医や薬剤師、看護師にご相談ください。
重篤な感染症のリスクについて
エムパベリの投与により、髄膜炎や敗血症などの重篤あるいは致死的な感染症の発症リスクが高まる可能性があります。
たとえワクチンを接種していたとしても、重篤な感染症は早期発見、早期治療が行われない場合、急激に重症化し死に至ることもあります。
重篤な感染症に関連する症状や初期徴候には以下のようなものがあります。
あてはまる症状がみられた場合は、たとえ軽度であっても直ちに主治医に連絡し、緊急の治療を受けてください。
主治医と連絡がつかない場合は、直ちに救急車を呼び、救急室のスタッフに「エムパベリ®患者安全性カード」を提示してください。
重篤な感染症が疑われる際の主な徴候及び症状
エムパベリの投与中及び投与終了後数週間は、重篤な感染症を発症するリスクがあります。
など
この他にも、エムパベリの使用中に気になる症状があらわれた場合は、主治医や薬剤師、看護師にご相談ください。
ワクチン接種について
エムパベリは、免疫系の一部を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型などによる重篤な感染症にかかる可能性が高まります。
重篤な感染症のリスクを低下させるためには、エムパベリを初めて使用する2週間前までに、以下の3種のワクチン接種が必要です。
- 髄膜炎菌ワクチン
- 肺炎球菌ワクチン
- インフルエンザ菌b型ワクチン
- エムパベリによる治療が直ちに必要と判断された場合は、できるだけ早くワクチン接種を受けてください。
- ワクチン接種を受けておらず、エムパベリによる治療を直ちに開始する必要がある場合は、ワクチン接種と同時に、主治医の判断によって、2週間、抗生物質を投与する必要があります。
- 過去にワクチンを接種している場合でも、主治医の判断によって、エムパベリの使用を開始する前にワクチン接種が必要となる場合があります。
- ワクチン接種は重篤な感染症にかかるリスクを減らすことができますが、完全に感染症にかからなくなるわけではありません。
- ワクチンの効果の持続期間は、髄膜炎菌ワクチン、肺炎球菌ワクチンともに5年であるため、これらのワクチンは5年毎を目安に追加接種を受けてください。
「エムパベリ®患者安全性カード」の使い方について
「エムパベリ®患者安全性カード」は、エムパベリの投与中及び投与終了後2ヵ月間は常に携帯してください。
「エムパベリ®患者安全性カード」は、患者さんがエムパベリによる治療を受けていることを知らせるカードです(三つ折りカードサイズ)。
カードに患者さん氏名、主治医氏名、病院名、主治医電話番号、緊急時受診可能医療機関などの必要事項を記入してください。
カードに記載されたいずれかの症状がある場合、緊急時に受診可能な医療機関にご連絡ください。
主治医と連絡がつかない場合は、直ちに救急車を呼び、救急室のスタッフに本カードを提示してください。
PNHの診察、PNH以外の診察のいずれの場合でも、医療機関を受診される場合には、受診先及び薬剤部/調剤薬局の医療関係者(医師、看護師、薬剤師など)に本カードを必ず提示してください。
「エムパベリ®患者安全性カード」
エムパベリ®患者安全性カードはこちら(PDFファイルを開きます)
エムパベリの中止/中断後の溶血のリスクについて
エムパベリの中止/中断に際しては、主治医との十分な話し合いがとても重要です。
エムパベリによる治療に伴うリスクだけでなく、エムパベリを中止/中断した場合にも異なったリスクが生じる可能性があります。
中止/中断後は溶血のリスクがあるため、以下のような徴候や症状がみられた場合には、直ちに主治医に連絡し、緊急の治療を受けてください。
溶血が疑われる際の主な徴候及び症状
- 息切れや息苦しさ(ヘモグロビン値の低下)
- 疲労感
- 尿が赤い、あるいは褐色(コーラ色)
- お腹が痛い
- 足が急に腫れる、心臓発作、脳卒中など
- 食べ物が飲み込みにくい
- 勃起不全
- など
この他にも、エムパベリの使用中に気になる症状があらわれた場合は、主治医や薬剤師、看護師にご相談ください。